特定非営利活動法人 肺がんCT検診認定機構
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ご挨拶

村田喜代史石川県立中央病院放射線診断科 小林 健

 このたび、理事会におきまして本機構の4代目の代表理事に選任されました小林健です。これまで地道に肺がん検診や肺癌画像診断の研究を行い、地方で日常診療の傍ら、コツコツと、でも熱意をもって肺がんCT検診に取り組んできた私を代表理事に推挙選出していただいた関係者の皆様に感謝いたします。

 肺がんCT検診は1990年代に日本で開発され、日本から多数の早期肺癌が発見されることが報告されましたが、この検診による肺癌死亡減少効果に関する高いエビデンスレベルの研究結果は発信できませんでした。そうこうする間に海外では2011年に米国NLST研究、2020年に欧州NELSON研究により重喫煙者に対する肺癌死亡減少効果が確立され、米国では2015年には保険による検診が提供され、欧州でも計画が進んでいる状況です。これを受けて、日本においても日本肺癌学会の肺がん検診委員会が作成した「肺がん検診ガイドライン2022」で、肺がんCT検診はブリンクマン指数600以上の重喫煙者で50-74歳に対して死亡率減少効果を示す証拠があるので行うよう勧められる(グレードA)となり、非・低喫煙者に対しては対策型としては行うように勧められないとされたものの推奨は(グレードI)となり、任意型検診において正しい情報を提供の上個人の判断で受けても良いとされました。現在、日本において非・低喫煙者に対して大規模な有効性評価の研究が進められています。また、このガイドラインを参考に重喫煙者については対策型検診への導入が検討され始めている状況です。

 さて、本機構は肺がんCT検診の適正な普及を目指して、NLSTの研究結果が公表される前の2009年4月に日本医学放射線学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器外科学会、日本肺癌学会、日本CT検診学会、日本放射線技術学会の6学会の協力の下、初代代表理事に長尾啓一先生を迎え設立されました。機構で最初に手掛けた事業は肺がんCT検診に従事する医師や技師の認定事業でした。この認定事業を通じて、肺がんCT検診の正しい理解、適切なインフォームドコンセントの提供、撮影時の放射線被曝低減や読影に十分なCT画像の提供、読影精度の維持向上を図っています。認定者数は年々増加し、2024年3月時点では、認定医師1645名、認定技師1691名となっています。さらに、2018年4月に各地域の肺がんCT検診の指導的な役割を担う基幹施設の拡大を図るため、歴代の金子昌弘代表理事、村田喜代史代表理事が企画された施設認定制度が開始されました。2024年3月時点では60施設を認定しています。今後も認定医、認定技師、認定施設の拡大を図っていきたいと考えており、認定者や認定施設の利便性の向上のため、各種マイページの提供、講習会や読影トレーニングのWeb化を進めています。

 がん検診が有効であるためには検診による有効性、すなわち、がん死亡減少効果に対する根拠がしっかりしていることは基本ですが、全国で確立された均一な方法で実施し、実施された結果をしっかりと精度管理することも極めて重要です。肺がんCT検診では、多くの検診施設や診療施設のCTが利用されています。肺がんCT検診認定機構としては認定施設と機構での情報のやりとりを通して、認定施設で実施されている検診CTの撮影や読影の体制、精度管理を向上する体制の構築にも役立っていきたいと考えています。

 肺がんCT検診の対策型検診導入の検討がなされるこの状況で、私が4代目の代表理事を務めさせていただく事になり、機構の果たす役割の重大さを改めて痛感し身の引き締まる思いです。多くの有能な理事の方々とともに、この機構の果たす役割が全うできるように全力で取り組みたいと考えておりますので、皆様のご協力を宜しくお願いいたします。

(令和6年4月 小林健 記)

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