特定非営利活動法人 肺がんCT検診認定機構
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設立の趣旨

肺がんCT検診認定制度設立の趣旨
−CT検診認定制度合同検討会からNPO法人肺がん検診認定機構へ−
長尾 啓一
 一般住民に対する年1回の胸部X線による肺がん検診は肺がんによる死亡を30〜50%減少させることが科学的に証明されている。しかし一方、このX線による肺がん検診では早期肺がんの発見に限界があることもわかっている。そこで日本では低線量CTによる肺がん検診(以下CT検診)が試験的に始められ、「肺がん発見率がきわめて高いこと、それらの多くが早期肺がんであること」が報告されてきた。これらの成績に惹かれてCT検診は急速に普及してきたが、並行してこのCT検診による肺がん死亡減少効果に関する大規模研究が進められ、その成績の一部が報告され始めている。

 一方、2006年に公表された厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班による“有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン”によれば、CT検診は「現時点では死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であり、対策型検診として実施することは勧められない」と評価された。前記した大規模研究の最終結果は未報告であり、米国での予後に関する比較試験も結論が出ていない時期では妥当な判断である。

 しかし、International Early Lung Cancer Action Program (I-ELCAP)からの報告をはじめ、諸報告によるCT検診発見肺がんの予後はきわめて良好で、日本では任意型検診としてのCT検診が急速に普及しつつある。そして、同時に研究としてのCT検診も奨励されてしかるべきであるが、ここで懸念されるのは、CT検診もいたずらに広まれば広まるほどその精度が低下することである。今、CT検診の精度管理がしっかりなされなければ、将来の成績向上は望むことができない。

 以上のようなことを考慮すると、CT検診に携わる諸医療職は、検診領域で一定レベル以上の技量・知識・経験を有していることが求められ、それを何らかの組織で認定証明し担保する必要がある。そして、いずれは医療施設そのものについても同様のことが必要になる。そして、このような認定制度ができれば、一般国民は質の保証されたCT検診を安心して受けることが可能になる。

 このような背景から、2007年3月に、日本医学放射線学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器外科学会、日本肺癌学会、日本CT検診学会、日本放射線技術学会の6学会からの委員で成るCT検診認定制度合同検討会が設置され、2年間弱議論をしてきた。そしてこれら委員の叡智により認定医師、認定技師の認定を遂行する肺がんCT検診認定機構を立ち上げることが合意され、2009年4月には東京都から特定非営利活動法人(NPO法人)の認証がなされた次第である。今後はNPO法人として、日本のCTによる肺がん検診の質をさらに高めるべく努めていく所存である。

(2009年4月 記)
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